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ライブ・イン・田園コロシアム

デビュー3年目に開催されたワンナイトのスペシャルイベントのライブ盤。様々な歌手が田園コロシアム(格闘技の会場でも有名だが、ほんとはテニスの競技場らしい)で連日コンサートを行なうというイベントに、新進気鋭の歌手として白羽の矢が立ったとのこと。
このライブアルバムは2009年に完全収録盤が再発売されるまでレコード盤しか存在せず、長らくファンの間では幻のアルバムという印象だった。このアルバムが超超超名盤であることを知る人は少ないかもしれない。

 

このアルバムの魅力は〈熱苦しさ〉。これに尽きる。のちのASKAがこのライブを評して言った。「震えるような思い出のコンサート」。これは伊達じゃない。『歌いつづける』の歌詞のように

力いっぱい体いっぱい心いっぱい 歌いつづける

この歌詞に恥じることのない、胸を打つ熱唱の連続なのだ。ちなみにこの曲はオリジナルアルバムには収録されずライブでしか披露されなかったもの。今作にも収録されている。

当時シングル4枚、アルバム2枚しか出していないので、このライブではその持ち歌をほとんど出し尽くしている。アルバム『風舞』『熱風』がそこまで名作という印象はないけど、ライブになるとすべてが超名曲に聴こえるというチャゲアスマジックが当時から炸裂している。とにかく攻めまくる、吠えまくる。オリジナルの『風舞』『熱風』を持っている人なら絶対にビックリするはずだ。すべての曲が大化けしているのだから。あの地味な流恋情歌でさえ、泣きたくなるほどに熱い。

デビュー当時のチャゲアスと言えばフォーク演歌という独自路線を歩んでいたが、このライブアルバムを聴く限りフォークの要素など希薄で、ロックとしか言いようがない。
たとえて言うならばキッスの『KISS ALIVE!』は熱すぎるライブ盤として伝説だけれど、これと同等以上の狂熱のライブと言っても言い過ぎではない。


MC含め、こんな感じの暑苦しさ。何を言ってるんだと思われるかもしれないけど、このギターサウンドといい、私の中ではほんとにキッスとかぶる。

 

プロバガンダ本『10年の複雑』を読むとよく分かるのだが、当時はレコードの売り上げよりもとにかくライブに打って出たという。デビュー3年目に、たいしたヒット作も持たないまま60本もの熱風ツアーに旅立つ。
http://www.chage-aska.net/biography/history/1981
チャゲアスは動員力があるという認識が既に、事務所と各地プロモーター双方にできあがっていたという。直前に『万里の河』のヒットというラッキーにも恵まれ、熱風ツアーは盛況に終わる。
今作はその熱風ツアーの合間に行われたスペシャルイベント。直前にツアーで関東を回ったばかりにも関わらず、キッチリ6,000人を動員。観客の熱狂ばかりでなく、チャゲアス自身の高揚した様子も収められている。

 

80年代チャゲアスの一番の特長。MCがめっちゃおもろい。チャゲが全国から集まったファンに各地の方言で語りかけるシーンがあるんだけど、アホ丸出し笑
あと、飛鳥の裏声ビブラートがすごい。これは80年代半ばにはもう聴けない声。初期の独特の鼻声ってのがある。(かつて東京のライブ会場にはしょっちゅう、初期チャゲアスのコピーをやってる弾き語りの男性が出没していた。その人は初期ASKAの声マネがうまかった)
バックの火魔神も超絶にうまい。チャゲアスのバックバンドはどの時代も良いが、火魔神は頭ひとつ抜けているかもしれない。

 

初期チャゲアスを聴くならこれがいい。ベスト盤よりもベストだろう。オリジナル音源だと初期チャゲアス最大の魅力である〈暑苦しさ〉がまったく伝わらないから。チャゲアスは最初っから天才だったんだなぁと認識を新たにする一枚だ。これ聴くとやっぱりフォーク路線には違和感を覚えるなぁ。完全にロックだもの。

 

なお、以前はレコード盤のレビューを載せていたが、このほど配信の完全収録盤を入手した。私は何かにつけ完全収録なるものに懐疑的だが、このアルバムに関しては断言しよう。絶対に完全収録盤がいい。レコードは10曲しかなく、名曲たちがこれでもかとカットされまくっていることがわかった。

 

(2017/12/28)

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