ASKA 非公式ファンサイト

歌になりたい


2019年、作詞作曲:ASKA
歌詞



2020年9月、ASKAが『テレ東音楽祭2020』に出演した。

国内の地上波の番組に出るのは何年ぶりなのだろうか。

テレ東とは言え腐ってもテレビ笑、TwitterではASKAがトレンド入りするなどなかなかの話題となったようである。

まぁTwitterのトレンドにどれほどの価値があるかは知らんが…

当サイトは平時は1日のアクセスが300足らずであるが、テレビ放映後は500近くになった。

微増と言ったところか。

(ちなみに逮捕・不起訴の時は3000を超えた数字が連日続いた)


披露したのは『はじまりはいつも雨』と『歌になりたい』。

後者は2019年のシングルである。


ファンとして気になるのはやはり一般層の反応である。

関係各所をウォッチしてみると概ね好評をもって迎えられたようだが、『歌になりたい』について宗教みたい、というコメントが散見された。

これは確かにその通りで、歌詞の内容はまさに精神世界そのもの。


過去には『僕はMusic』という曲もあったけども、要するにASKAは音楽と一体化したい願望があるようである…!


「何を言っているのか」と普通のマトモな人は思うだろうが、なかなかどうして、これは深いテーマだ。


自分が消えて崇高なものと溶け合い一体化することを目指す宗教や思想は確かにある。


その状態をウパニシャッド哲学では梵我一如(ぼんがいちにょ)、仏教では色即是空(しきそくぜくう)などと言う。最近のスピリチュアルではワンネス(ONENESS=一体性)などとも言う。



UNI-VERSE』も「全部ひとつ」という主題よね。『色んな人が歌ってきたように』も「すべては愛」ならそうかもしれない。


つまりASKAは梵我一如を目指しているのである。

これを宗教みたいと言うならば確かにその通りだ。


ただそれを宗教という一言で切って捨てるのはもったいないというのが、私のかねてよりの主張なのである。

今まで何度も書いてきたけれど、私がすごいと思うのはヘタしたらコテコテの精神世界になってしまう主題を、ASKAは藝術に高めてしまう点である。



予感が燃えて現実になる

その時僕は僕でいられるだろうか



全編に渡ってこんな調子の、抽象的な歌詞である。

超絶に意味不明ながら、何かが微かに伝わるという…

この表現スタイルこそがまさに本当の神秘主義であると私は思うわけだ。

 

***

 

ここからは神秘的な音楽とはどういうものかを探ってみよう。

日本では少ないけど、宗教を持つ欧米人は神や信仰を歌の主題にすることは珍しいことではない。

 

例えばジョージ・ハリスン(ビートルズの)の有名な『My Sweet Lord』

 

LORDとは神のこと。ジョージはビートルズ時代にインドにかぶれ、インドの神を信仰していたのでこの曲で言うLordはキリストではなくクリシュナ神と思う。でもハレルヤと言っているのでキリストも混ざっているか。多神教らしい。

 


ボストンの『ハイヤー・パワー』もすごい。

元々神秘的な曲を作るボストンであるが、この曲を初めて聴いた時はテンションMAXの宇宙パワーを感じてしまいめちゃ笑ったわ。

 

神秘思想に詳しいロバート・フリップ(↓メガネのギタリスト)率いるキング・クリムゾンは、悪の波動を発する。

イギリスには魔術の伝統があり、敢えて悪を選ぶ方法論がある。崇高なことを考えているとパワーが出ないのである。パワーは悪に宿る。

 

 

その他、サンタナなんかも信仰を前面に出して活動しているし、メタル系だとアイコン的に信仰を持ち出したるする。メタラーも悪を演じるのが常であり、そうしたバンドは枚挙にいとまがない。

 




かたや日本人ミュージシャンでは精神世界を押し出してくる人は本当に少ない。

マーケットが小中学生だからなぁ苦笑。

 

徳永英明は数少ないその一人と言えるであろう。

ただASKAの抽象的な詞で育った身からすると、徳永の表現はいささか直裁的なんだよなぁ。好きだけど。



細野晴臣は間違いなくもっともオカルトに関わった著名ミュージシャンである。そのために坂本龍一に嫌がられていたとか。

しかしASKAのド派手なメロディとボーカルで育った身からすると、渋すぎるんだよなぁ。好きだけど。



他にガチなのは姫神(初代)。





このあたりでまとめよう。

神秘的な事柄を扱いながらも芸術性を保つ歌詞。

さらに壮大なテーマに負けない、大衆の心を打つメロディ。

そして言わずもがなのボーカル。

日本で唯一、さらに私に言わせると世界で最高の、精神世界系ミュージシャンがASKAなのである。

 


日本社会にそういうものを受け入れる素地がないことは、残念と言えよう。

「宗教」というワードが罵詈雑言になってしまうのは地球広しと言えど日本だけだろう。



***

 


しかし大事なことがある。

欧米のミュージシャンにもよくあることだけど、神様に走ると作品のクオリティが落ちるのである。


あのボブ・ディランも中期には『Slow Train Coming』という信仰を扱った意欲作を発表しているが、賛否両論。というかめちゃ地味で今となっては知る人も少ないアルバムだ。

 


ジャズのジョン・コルトレーンも晩年は精神世界に走り迷走したまま亡くなった。

アルバム『アセンション』(そのものズバリのタイトルですね)は失敗作と言われる。

 


あんまりかそけきものへの渇望を募らせると、精神を持っていかれるんだろうね。


宗教っぽければ何でも良いという意図は、私にはまったく無いので誤解なきよう。

 

『歌になりたい』もファンの間で賛否が真っ二つに分かれるようだ。

あのメロディとズラして歌う感じ(それをピッチと言うのか?)はクセがあり、ポップとは言い難い。さらにサビはno no darlin’形式である。

キャッチャーなものを欲しがる人には伝わらないのではなかろうか。

 

しかし実際に聴いてものすごく感動した、という人は私の周りにも複数いる。

 

存在そのものが不思議な曲である。



(2020/10/02)

 

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