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石の風が吹く道

 

17年 作詞作曲:ASKA

 

歌詞

 

名作『Black&White』の中でもズバ抜けて地味なこの曲。当初はほとんど興味がなかったが、ここ2週間ほど私は妙にこの曲が気になるようになった。ASKAが8月25日に脱退を宣言することが予想され、またマスコミに出るんだろうなぁと私はぼんやりと思っていたわけだが、この曲はマスコミに関わることを扱っていることに気づいたのだ。

この歌はズバリ、事件のことを歌ったものであろう。テーマとしては

 

【誹謗中傷に負けず、歌手として立ち上がるオレ】

 

 

***

 

どっち向いても決まりごと なら真ん中を行こう

誰かがどこかで僕を笑い飛ばしている でも僕は僕の精一杯で ダメになるまで

石の風が吹く道をカッコつけながら

掃除機のような音の吹雪浴びながら

 

 

この歌は残念ながら滑稽に感じる人もいるんだろうなぁ・・・「反省してないね」と。確かにこの歌からは強い「被害者意識」が感じられる。ヤフコメ風に言うならば「事件起こした奴が何を被害者ヅラしてんの」と。

 

しかし今回の脱退騒動。膨大なヤフコメをつらつら読んでいて、どれも膝を打つような正論ばかりで感心していたのだが、やがてふと気がついた。アーティストの活動に正論を求めて何になるんだろうか、と・・・

 

「反省がない」「お前が言うな」「チャゲがかわいそう」。うーん、どれも正しい笑。でもそれってただの常識に過ぎないんだよなぁとなんだか虚しくなってきた。歌以外の部分で裁かれる歌手ってのもかわいそうだな、と。

 

 

さて『石の風が吹く道』である。

この歌は、あれだけお騒がせな事件を起こした張本人による「嘆きのブルース」である。この歌も脱退騒動と似たようなもので、一方的なまでにASKAの主観が歌われている。ここ2週間ほどで、私はこの「主観100%」状態がとてもいさぎよく感じるようになったのだ。詩に常識なんていらねえじゃんか、と。

 

 

石の風が吹く

掃除機のような音の吹雪

 

 

これは吹き荒れる誹謗中傷の意味であろう。報道や大衆のコメントが、このような痛みが伝わってくる比喩で表されているのだと思われる。武骨な表現がすごい。

この比喩は大衆の非難にさらされた人ならではの表現だろう。そしてそこに立ち向かおうとする決意。これはパンピーには想像しずらいが、そこを頑張って想像すると見えてくるものがある。

 

 

 

2番にはこうある。

 

 

伝えたいことを口にすれば妙な風が吹く

安心と安全は本当に正しいか

 

 

伝えたいこととは例えば、いわゆる「集団ストーカー」の話か。誰も取り合ってくれないシーンが容易に想像される。それに対し「安心と安全は本当に正しいか」。これはちょっと飛躍な気もするが、そう感じるのはよくわかる。常識に身を添わせることで安心と安全を確保する大衆的感性。そんな「常識に流されやすい人」に対する不満を感じるのだろう。

 

 

***

 

作品からアーティストの精神構造を感じ取ることはかなり強烈な快感だと私は思う。その感じ取れる精神が異形であるほど、感動も大きいわけだ。うまく伝えられないが、そんなふうなことを最近感じていた。

 

芸術において大事なのは事実関係とか一般常識ではなく作者本人が何をどう感じているか。芸術作品とは主観美しく表現することだろう。2年近くかかったけど、私は『石の風が吹く道』に美を感じることができたので、このタイミングで卑見を報告させて頂いた次第である。

 

ASKAのブログは悪い意味での波紋を呼んでばかりだけど、やはり歌になると芸術なんだよなぁ。孤高な詩人であり続けてほしいと願う。

 

(2019/08/26)

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