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この神社(2018/02/05)

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籠(この)神社とは、天橋立にある古社。由緒はここに書いてある通りで、元伊勢と言われている。補足すると、あまり知られてはいないが伊勢神宮は各地を転々として現在の場所に至った歴史がある。2000年近い大昔、ヤマトヒメという巫女が天照大御神を祀るにふさわしい聖地を求めて各地を巡行した。その跡地は「元伊勢」として京都府、奈良県、三重県などにお社が残っている。いくつもある元伊勢の中でその最初が天橋立の籠神社と言われているのだ。籠神社には「海部氏系図」という国宝があり、太古の昔には王国があったと主張する人もいるようだ。
私もハタチそこそこのときに籠神社を偶然訪れたことがある。
大学時代の夏、知り合いの女子から回覧メールが回ってきた。曰く「親戚の宿屋を手伝ってくれる人募集」。旅行しながらお金までもらえるのかと思って、私はすぐに乗った。それが天橋立の宿屋だった。
天橋立は日本三景と言われる。「股のぞき」が有名だろう。天から橋が落ちてきたような砂嘴はまさに天下の奇景。そして何よりも、北近畿タンゴ鉄道の天橋立駅に降り立った瞬間から感じた、昔話の世界にタイムスリップしたかのような妙に懐かしい感覚が、一発で私を虜にした。姫神の音楽が流れてきそうな・・・

これを聴くとなる心境に、その時なっていた。これをノスタルジーと言うのだろう。
天橋立は立入禁止などではなくて海水浴場にもなっているし、端から端まで歩いて縦断できる。左右に砂浜が迫る珍奇な地形を50分ほどかけて歩くのだが、私は延々歩きながらその間ずっと興奮を感じていた。訳の分からない強烈なノスタルジーがあった。そんな経験は初めてだった。
天橋立を渡りきると籠神社に行き当たる。神社を右手に行くと「天真名井」という、聖水の湧き出す古社がある。ここは伊勢の外宮の関係だったかな?よく覚えていないが、ここも籠神社なみに由緒あるところだそうだ。宿はその近辺にあった。

宿で運命の出会いを果たした。先輩のバイトだ。肌が真っ黒で目がギラついた、オラオラ系の男だった。そういう人種と言葉を交わすのは初めてだった。やけに上から目線でしつこく話しかけてくる。毎日海でナンパしている、昨日はスペイン人の女と遊んだなどと矢鱈と景気のいい話ばかりしている。口癖は「キケンだぜ」。今で言うマジ卍みたいな使い方をしていた笑。なぜこんなところにこんな人がいるのか今思っても不思議だが、家出して東京から舞鶴まで流れ着いたと言っている。あとで東京で会ったときに聞いたところ、父親は上野で金貸しをしている在日韓国人のボスとのことだ。その大塚の豪邸にも遊びに行った(大塚にも閑静なエリアがあるのだ)。
私はこの熱苦しいオラオラ野郎に強烈な好感を抱いた。洗い物や清掃の仕事を終え物置部屋の寝床についたとき、その男のことばかり考えていた。寝床で男のことを考えるなど、後にも先にもこの日だけだ。今思い出しても胸が熱くなる・・・ そういう純粋な自分が懐かしいという意味でも。

天橋立の磁力を経験してから生き方が大きく変わった、と言うと大袈裟だが、少なくとも放浪癖はついた。旅先では必ず何かが起きることを知ってしまった。長期休みは現地でバイトをしてなるべく長く滞在するというスタイルで日本全国を行脚した。大学は複数年留年したので、先に卒業して地方に飛んだ友人の家に居候する旅も好んだ。今思えばノマド的だ。

以来、オススメの旅先を問われたら天橋立と即答している。オススメのCDを訊かれたらRED HILLと即答するのと同じレベルで。昨年若狭から京都府北部を旅したが、やはり最高だった。綾部市の北のはずれには日本の原風景が残っている。ドライブするだけで涙が出た。

 

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今回は観光案内をお届けしました。

 

(2018/02/05)

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