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あとまわし、荒野、真夏の国境、万里の河、翼、あばんぎゃるど、歌いつづける

 

今回は最初期の曲、アルバム熱風を中心にまとめて取り上げてみる。先月iTunesで購入した『ライブ・イン・田園コロシアム』にハマりにハマっている為。

 

最初期ASKAの詞に多いモチーフとして
【上京】
がある。

 

79年デビュー当時、チャゲアスのふたりは福岡の第一経済大学、通称イッケイに在学中だった。福岡出身の友人に色々聞いたが、九州では名の知れた大学のようだ。デビューが決まってお調子者のチャゲちゃんは早々に中退を決意するものの、飛鳥は大学卒業にこだわり、東京と福岡を往復する生活だったのである。2ndアルバム『熱風』の製作は卒業試験と重なりたいへんだったそうだ。

 

最初期の曲では【上京】を軸として様々な物語が紡がれている。それぞれの要素を曲を横断しながら取り上げてみよう。なお、初期のラブソングは演歌やフォークの伝統にのっとり女性視点の歌詞が多い。

 

 

①周囲の制止

 

デビューに当たってはヤマハの社員が親に「ヤマハに就職したと思ってほしい」と説得に来たそうだが、方々から止められたのか

 

俺は東へ登るつもりだ 勝手な奴だと思うだろうが  (歌いつづける)
汚れた口の噂あるけど気にしていたんじゃ歌えまい (〃)
何処かで誰かが俺を呼ぶ 静かな生活に戻れ!と 夢を斬る深い嵐 俺をつつんでも (荒野)
遠い故郷をふり返り 俺はすべて投げ出し ただ走りつづけた (真夏の国境)

 

とのことで、制止を振り切ってのプロデビューだった様子がしのばれる。福岡は本当に芸能大国だけど、それだけに夢破れ散っていった人も多いのだろう。ひょっとすると他県よりも芸能界を夢見る者への風当たりが一層厳しいのかもしれない。

 

 

余談だが芸能大国と言えば福岡人は本当に魅力的で、天神を歩く女性の美人率は異常。モデル級の人がゴロゴロいる。しかも福岡の美女は周りのレベルが高すぎて自分のことを普通の人だと思っているのか、連れている男が非常にしょぼかったりする。不思議不思議な現代の女護ヶ島、福岡。

 

②決意

そんな引き止めにも関わらず、飛鳥青年はプロでやっていくことを決意する。

 

嵐は吹き荒れ岩を打ちたたく 俺はいつでもたたかれていたい 果てしないあこがれ想いは深く 河よ流れていつかは海となれ (歌いつづける)
その日の暮らしは風まかせと 片意地を張れば 誰かがおいらの生き方 ほめてくれるかね (あばんぎゃるど)
夢を斬る深い嵐 俺をつつんでも 少しだけ身をふるわせ 睨みつけて歩こうか (荒野)
果てしなく続く 長い人生で 幾つかの悲しみ 置き忘れても ひたむきに 燃えながら (〃)

 

勇ましいが、この勇ましさの陰には不安や迷いがあるということだろう。万里の河の大ヒット、アルバム熱風のチャート1位、60本もの熱風ツアーを経た3rdアルバムの頃にはもう、このような歌詞は消えてなくなっているのである。

 

 

③マニフェスト

プロでやっていくと決意した飛鳥青年は、どのような歌手になるかマニフェスト宣言を盛り込んでいる。

 

おいらはあばんぎゃるど 気楽な歌うたい なりゆくままを 歌にしてしまえ おいらはあばんぎゃるど 気楽な歌うたい 心おきなく歌ってしまえ (あばんぎゃるど)
おいらが望む愛って奴は いつもつかめぬままで いつまでつづくか この歌稼業 愛を捜しつづけ (〃)
平凡な人生を 悔んでる人よ おいらの風変わりな歌に 酔ってみないかい (〃)
ギターよお前は俺の道連れ 見せかけの歌を歌うつもりはない (歌いつづける)
力いっぱい体いっぱい心いっぱい歌いつづける (〃)

 

このへんは今に至るまでまったく変わっていないことに感動を覚える。ASKAはいつだってなりゆくままを歌にしてしまう人だし、意味不明な風変わりな歌を作る人だし、力いっぱい体いっぱい心いっぱい歌う人だ。つまり、根本はデビュー当時から1ミリたりともブレていないのだ。

このあばんぎゃるどの映像、DOUBLEツアーのオープニングムービーに似ている気が・・・

 

ちなみにあばんぎゃるどの
愛はいつも掴めぬままで
というフレイズはは『太陽と埃の中で』で
追い駆けて追い駆けても掴めないものばかりさ 愛して愛しても近づくほど見えない
と発展することになる。この名フレイズはデビュー当時からの感覚の所産だったことがわかる。

 

④悲恋

プロデビューにまつわる情熱的な歌のかたわら、遠距離恋愛を思わせるテーマも散見される。

 

私は二の次 三の次 あなたは歌に狂う人 最初は毎日電話もあったけど 今じゃそれもとぎれがち (あとまわし)
会えぬつらさを語れぬ日々よ 私は想う せめてこの髪があなたのもとへ のびるぐらいになれと (万里の河)
今 おまえを奪い去って 誰もいない地球の裏側まで 飛んで行くんだ(翼)
この心 祈りにみちて 遠い故郷をふり返り 俺はそっと瞳を閉じなつかしい貴女想う (真夏の国境)

 

万里の河のおとぎ話の恋のようにというのは織姫と彦星のことか。ケータイのない時代、ネット動画通話のない時代の遠距離恋愛はまさに、万里サイズの河川を隔てるくらい遠いものだったのだろう。時代が変わり、今これらの歌を聴くと非常に趣き深い。恋の考古学。

 

 

 

⑤望郷

 

見上げる空に 傷ついた鳩が 悲しげな瞳をして 西の空へ(=福岡)翔けてく (真夏の国境)
白い溜息を吐く 南へ向う汽車が 赤い鉄橋を渡ってるよ まだ街は遠い(あばんぎゃるど)

素朴な望郷の念も歌われている。
これが36年後の『FUKUOKA』につながるかと思えば、ロマンの極みだろう。人は同じ円を繰り返し歩くとASKAは言うが、まさに地で行っている。周りの制止を振り切って突き進むという既視感、笑

 

 

(2018/01/11)

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