ASKA 非公式ファンサイト

Black&White

収録曲

 

事件後第1作となった『Too many people』から8ヶ月。今年2作目となるアルバム『Black&White』が発売された。

 

過去最高 今回もそう言っていただけたらいいな

 

とはASKAの弁。大言壮語はやめとけ〜と思ったが、聴いてみた結果

誇大ではない。少なくともソロでは過去最高を謳っていい

と思った。そう、傑作なのである。

 

 

 

経緯

私は今作に対してまったく期待を持っていなかった。例の情緒不安定なブログを読み続けたところ、期待という気持ちが段々と蝕まれていたようだ。実際先行配信された『塗りつぶして行け!』『Fellows』は試聴したところ「また暑苦しい歌だな」と感じ購入には至らなかった。

しかしこの二曲でさえも、アルバムの中に納まるととても輝いていたのだ。素晴らしい曲順の妙もあった。
声を大にして言いたい。

ブログと曲はまったくの別モノ、笑

 

 

特徴

はんなりとしたアルバムである。洗練されつつ自制心がある。むき出しではない奥ゆかしさ。

近年のASKAには珍しく、抑制が効いているのだ。BGMとして流しても違和感がない、穏やかな空気感がある。ほぼ全曲を通じて耳に違和感がなかった。
どういうことかと言うと、ASKAの曲というのは個性が強すぎて、聴きながら立ち止まってしまうものなのだ。声にしろサウンドにしろ歌詞にしろ。それは良くも悪くも、である。昔はそれが名曲と呼ばれるゆえんであったし、近年は・・・ 私には重たすぎた。揺れすぎ、ひねくりすぎだと感じていた。そういう違和感が今作にはなく、ごく自然な「音楽」つまり、「楽しい音」なのであった。これは伝わりにくいかもしれないが、私にとっては甚く衝撃なのであった。

 

曲はミディアムテンポが多い。暗いもの明るいものは半々くらい。いずれもメロディが美麗である。
かつてファンだった仲間にも分かりやすく言うと

『水の部屋』が10曲くらい入っている

似ていると言うよりは、存在感やクオリティの話。『WHY』10曲だったら微妙だが、『水の部屋』10曲だったら凄いよね、という意味だ。ただし1曲だけ、悪ノリしたマルチマックスみたいなやつがある笑

 

ファンじゃない人に分かりやすく言うと

洋楽ぽい

私の知る範囲で言うと、スティングの名作「ナッシング・ライク・ザ・サン」のような静謐な一枚となっている。古き良きポップスの趣もある。

 

 

過去作品との比較

私は一聴しながら『ONE』を思い出していた。私はこのアルバムがチャゲアス史上トップ5に入るくらい好きだ。イギリス人のアレンジャーを迎えただけあって、洋楽風の洒脱な感じがたまらない。りきみのなさがカッコいい。

私の基準では『ONE』は最高のSランクに位置している。その『ONE』を超えるくらい良いように感じるので、「(ソロの)過去最高」を謳っていいと思った次第だ。
洋楽とJ-POPのメロディはツボが違う。J-POPはド派手なメロディでリスナーをガンガン泣かせるのが良しとされる。『Black&White』や『ONE』はそうではない。抑制の美ということだ。
スローな曲が多いという点では『SCENE』のようなものを想像されるかもしれないが、あんなにぬるい感じではない。

 

ちなみに私がチャゲアスの新譜でここまで心動かされたのは99年の『NO DOUBT』以来である。99年当時、高校一年生。感慨深すぎる。何度も書いてきたけれど私の中で2000年代のASKAは別人なのだ。それが再び、あの頃へ時計の針が巡ってきたような気さえする。
事件を機に興味を持った層には伝わらないだろうけど、作品とは別に流れるもうひと筋の感動が私にはある。

 

 

 

前作との違い

前作『Too many people』は全体的にぶ厚い悲壮感に包まれた作品だった。歌詞や声には怨念がこもり、メロディはアゲまくり。色々想像してしまい、私にはいささかキツかった。

しかし上述の通り今作は“楽しい音”として違和感がない。これは凄いことだ。私はてっきり、また恨み節全開で来ると思っていたのだ。
歌詞からはずいぶんカドが取れた。「塗りつぶして行け」「今がいちばんいい」「僕であるために」など字ヅラだけ見ると安っぽいフレイズが踊るが、これは歌が乗ると言霊に変わる。聴き手に感情移入を起こさせる。往年のファンも経験があるだろう。「薄められて飲まされてるミルクの味さ ブラザー」という間の抜けたフレイズが、歌が乗った瞬間にハードボイルドに変わるというアレだ。
このあたりにシンガーソングライターとしての圧倒的な実力が感じられ、まさにASKAそのものであった。声に人生が乗せられるのだろう。前作で強く感じた歌詞への不満が、今作では不思議なくらい払拭されている。技巧を超えている。

 

 

13曲というボリューム

よくもこんなに上質な曲を並べられたものだ。前作でも感じたが、13曲というのは多い。アップ、スロー、明るい、暗いなど手を替え品を替え、厚みを持たせなければいけない。

ふと思ったのだけど、CHAGE&ASKAはこれを無理なくできたのだ。二人が半分ずつ作れば即バリエーションとなり、アルバムが厚くなるのだから。それがチャゲアスの魅力だったのだと、ふと気がついた。一人で13曲というのはめちゃくちゃ大変なことだと思う。旺盛な創作意欲の証左である。

 

 

構成の妙

良い曲だらけなので、○○がいい○○もいいなどと列挙するのは意味がないと思う。特筆すべきはその良曲たちの並べ方だ。中盤ではほっこりさせつつ、最初と最後にテンションをアゲてくる、お決まりのチャゲアス流必勝パターンである。特にM1→M2とM11→M12→M13の展開は絶対的で、これしかないように思えた。ベタだがライブを想像したし、涙する我々まで見えた。アルバムにここまで擬似ライブを感じたことは、私にはかつてなかったことだ。

 

 

***

事件後のASKAの活動で、ここまで絶賛したのは初めて。褒めすぎると信憑性が薄くなるので嫌なのだけど、しょうがない。全力で推します。

 

(2017/10/28)

‹‹一覧に戻る