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チャゲアスをレコードで聴く(2017/06/30)

『Too many people』をリマスタリングして配信しなおした、という話。
私はCDだけ購入しているので関係ないらしい。
しかし音質問題の存在は、CDを一聴したときから感じていた。アルバムのレビューにも「音に不満」と書いた。そしてこちらの方の指摘は100倍くらい詳しい。
http://sekisv.com/2017/04/06/3542-revision-v1/

(MULTI MAXの超名盤『Oki doki!』にANALOG RECORDINGと大きく書かれていたことの意味が、はっきり分かりました)

 

実は私もこの方と同じく、『Too many people』を車で聴いていたのであった。15年くらい愛用していたBOSEのWaveRadioを、子どもが壊してしまったのだ。シンプルを追求したWaveRadioは蓋の開閉も手動なので、子どもたちが音速で開け閉めして遊んだ挙句、中の読み取りレンズにもペタペタとタッチし、ボーズをオシャカにしてしまった。Don’ t Cry,Don’t Touchと同じ世界を体験してしまったわけ。家で音楽を聴けないので、家族が寝静まった夜中にベッドを起き出しては、凍えるような車の暗闇の中で、ひとり『Too many people』のCDを回していた。通報されないか一抹の不安を抱えながら。

 

車の劣悪なステレオのほうが、音質は如実に表れるのかな。のちにiPadに落としてイヤホンで聴いた時は、さほど気にならなかった。それも↑の方が書いている通りだ。

 

しかし。音がペラペラという感覚は、まぁファンには関係ないだろう。私が書いたレビューは非ファン向けなので、褒めた部分の信憑性を高めるために敢えて辛口な部分も見せたまでのこと。本音ではどうでもいいことだ。むしろレコーディング環境がいつもどおりではない苦境だった、という記念碑にさえなると思っている。30年後には美談として評論家の間で語られていることだろう。

 

 

今回のブログ記事でより興味を引かれたのは、レコードの話だ。
私は80年代チャゲアスのアルバムを、ほとんどレコードで揃えている。蒐集癖もないわけではないが、やはり音がいいから。

 

レコードは本当に音がいいのか?これに対する私なりの答えは
ナマ楽器の音は絶対にレコードがいい

 

ここで言うナマ楽器とは、エレキではない楽器のことで、人の声も含む。チャゲアス風に言うとアンプラグド。要は「(弦などの)素材が振動して音が出るもの」がいいらしい。逆にシンセサイザーは100%、それではない。
80年代「飛鳥」特有の甘いウィスパーボイスは、レコードだと一層映える。声的に私のお気に入りはアルバム『MIX BLOOD』。

特に『TEKU TEKU』『かけひき』『やっぱりJAPANESE』。これは再生するたびに悶える。CD版にはない質感が明らかに感じられる。アルバム『ライブ・イン・田園コロシアム』も素晴らしく、ビブラートの声が前面に飛び出てくるような音色がある。映像が飛び出るのと同じ感覚で、音が飛び出てくる感じがするのだ。あと飛鳥涼『SCENE』は残念ながら持っていないが、ボーカルメインの一枚だけに、すごそうな「予感」がする。

 

ただしレコードだったらすべていいのか、と言うとそうでもなく、曲によってはCDと大差ないものも多い。このへんが難しいところなのだ。同じアルバム『MIX BLOOD』でも『EXPLOSION』はふつうだから。なぜそういう差が出てくるのかまるでわからないところがまた、レコードの魔力。男の蒐集癖と評論家魂を刺激する。音質のレベルで「このアルバムはいい、これはダメ」、ソムリエみたいな。ジャズマニアにはそういう人いるよね。

 

(レコードじゃないので余談だが、アルバム『NO DOUBT』も音の質感が素晴らしい。ボーカルが前面に出てくる。『no doubt』では息継ぎまで聴こえる。『群れ』は特にシングル版のボーカルがすごい。唇がマイクに当たるくらい近くで歌ってるんじゃないか)

 

以下はチャゲアスに関係のない戯れ言。
私がレコードを聴き始めたきっかけはチャゲアスではなく、YMOだった。18だったか、YMOを揃えようとしたときに(いつも時代に逆行している)、どうせならオリジナルのレコードにしようと思い立ち(ジャケットもキッチュだし)、安物のプレイヤーを購入。で、ライディーンの入っている伝説の名盤『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』に、ドキドキしながら針を落とした。その結果はしかし・・・
CDと何が違うの!?
と音質に対する疑問が激しく湧いたのだ。
その後もロックを中心にレコード盤を集めたが、基本的には「CDで聴くのと一緒じゃん」と思い続けた。

ところが認識を深める機会が訪れた。26のときに叔父が亡くなった。叔父はクラッシックのマニアで、遺されたCDとレコードの一部を、私は譲り受けた。そのときに集中してクラッシックを聴いた。そしてわかったのは、
明らかにレコードのほうが音がいい
のだ。ジャズも一部含まれていたが、ジャズもレコードが良い。

ロックでも「これはレコードのほうがいいなぁ」と思う作品もあるにはあった。スティングとか。それらの経験を重ねて考えてみた結論が
ナマ楽器の音は絶対にレコードがいい
クラッシック、ジャズはナマ楽器だから。他に民族音楽なんかも良かったから。
そして
電子音はCDと変わらない
という結論に達した。YMOは歌もなくオール電子音で、その最たる例。

 

ASKAも言う通り、レコードが拾う音域はCDより遥かに広いというのが定説。私なりの感覚では、CDは純粋に音しか鳴らないが、レコードは「場の空気」まで記録している感じがする。ライブ会場に行くと、会場内にこだまするざわめきまでが自分のボルテージを上げるでしょう?そんなざわめきレベルの音が、レコードには入っているような気がするのだ。つまり「音の差」というよりも、もはや心理効果レベルの「聴こえない音」かもしれない。
昔話題になった「聴くだけで巨乳になる奇跡の着うた」は、サブリミナル音が入っているという。赤ちゃんが泣く声を加工して、聴こえない程度の雑音にしてメロディの背後に挿入したものらしい。女性は赤ちゃんの泣き声を聴くと母性本能が刺激され、胸が大きくなるという理屈。その効果はともかく、耳で聞こえない音でも、人の心理には大きな影響力があるということは言える。レコードもこれと一緒だと私は感じる。だって、音がいいって言ったって、具体的に何がいいかわからないから。でも明らかに心は踊る。

 

 

完全に余談だが、レコードを超える音質がある。それはラジオ。
聴き飽きた曲も、ラジオから流れてくると途端に超名曲に聴こえる。逆に、ラジオでいいと思った曲も、CDを買ってみるとガッカリすることも少なくない。ラジオはレコードよりも魔法がかかっている。
音がクリアなほどいいわけじゃない。高画質テレビが気色悪いのと同じ。

 

 

余談すぎるが、ブライアン・イーノのアンビエントシリーズはサブリミナル音を仕込んでいると思う。再生した瞬間から強烈にリラックスするのは不思議すぎる。あれは絶対に音だけじゃない。

 

 

 

もうひとつ余談。ASKAは音楽を語るとカッコいい。

(2017/06/30)

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