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ASKA『700番 第二巻 第三巻』レビュー

本書は『第二巻 第三巻』と、銘打たれているとおり、二部構成です。(純粋なエッセイの付章もあり)

あらすじは以下。
[第二巻] オレは病気じゃない!
[第三巻] オレは無罪だ!
[全体] 盗聴盗撮は実在する!

想像以上に直球でした笑

 

結論から言うと、一読の価値ありですよ。色々考えさせられます。

 

特に私が興味深いのは、精神科病院への入退院について。これが本書の2/3の分量を占めています。
過去には『ルポ精神病棟』を始め、精神科病院を外側からルポった本はいくらでもあるけれど、実際の患者が内側から告発する本は、少ないです。というか私は他に読んだことがない。

ASKAは医療保護入院を強制されたことに憤っています。医療保護入院とは本人の同意なしに、家族の同意のみでできる精神科独特の入院形態のこと。ちなみに障害者施設を襲撃した植松容疑者は、過去に措置入院という形態で入院していました。これは本人はおろか家族の同意すらいらず、警察が(都道府県知事に許可を求めて)刑務所がわりに使うもの。

精神科の病棟って刑務所に似てるんです。行き場のない人がぶち込まれる収容所でもあります。そのへんの生々しい描写もありした。他の患者さんがヨダレ垂らしてる、とか。

しかし医療保護入院ということは、家族が同意してるわけですからね。やけに医師が悪役のように書かれていますが、本当はご家族の存在がもっと大きいと思います。もちろん〈心配〉がキーワードと思いますけども。

 

ASKAは「オレは病気じゃない!」と懸命に訴えます。しかし、そのようにあがく姿そのものが、世間には病気と映ってしまうようです。本書ではその様子がまざまざと見えてしまい、衝撃的ですらあります。

しかし凡百のノンフィクションとは違うのが、随所に詩が挿入されることです。これは飛ばさないで、ぜひ読みましょう。ASKAの魂の叫びがここにあります。また文章の中でも詩的表現が頻出します。「包帯はいつも夕焼けのように滲んでいる。滲ませるには白である必要がある。幾度巻けば、夕焼けを覆えるのだろうか。それは包帯にしか分からない」なんて。かっこいいと思いました。野島伸司を連想しました。壊れそうなガラス細工の詩人のイメージ。

 

私は偶然にも精神科医療に携わる人間です。その立場から言わせてもらうと、ASKAが病気であろうがなかろうが、関係ないと思っています。アーティストというのは、程度の差はあれ、100%統合失調症です。天才であればあるほど、統合失調的人格が色濃いものです。例えばロバート・フリップは『21世紀の分裂病者』という名曲を残していますが、彼のインタビューを読むと、モロですね。頭が良すぎて他人からは支離滅裂に見えるという。でもあれって本人の中では完璧に論理が通っているんですよ。
昔、統合失調症が分裂病と呼ばれていた頃は、分裂病=天才病とさえ言われていたのです。だからASKAが病気であろうとなかろうと、私はなんとも思いません。
なので、本書で「オレは病気じゃない!」と叫ぶのはちょっと私には響きませんでした。ASKAにはライオンのように堂々としていてほしいと思います。

 

あと、世間が注目するお茶事件。ブログで予告されていたとおり、種明かしがされています。お茶にすり替えたいきさつはこれまでに語られていましたが、問題の「なぜお茶から陽性反応が出たか」。これにも回答が出されています。とても単純でわかりやすい話でした。警察は手落ちは発表しないんですね。

 

 

まとめ。まぁこの本を読んで文字通り受け取るのはファンだけでしょうが、ノンフィクションとして、薬物犯罪を犯し後遺症が疑われる人間が書いたものとして、一読に値します。こう書くとASKAはまた怒るでしょうけど・・・ でもたぶん、本書の価値はここにあります。

2017/02/17

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